黄昏

誰そ彼の空

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「綺麗だね」
『きれいだね』
「君もね」
『ありがと』
「あのさ」
『うん』
「俺、ずっとね」
『うん』
波が引いていく。
「ずっと前から」
波が押し返す。

「君を愛してたよ」

波が僕らに覆いかぶさった。
君の姿が一瞬見えなくなる。
遠くなる耳。
もがいて、痺れる目を凝らして、君を見つける。
手を伸ばして君を掴んだ。
動く君の唇。

(わ、た、し、も。)

はっと飛び起きる。
手は大量の汗を握りしめていた。

夢でもいいからと
願ってやっと君に届いた。

思い出す、
黄昏に染まる緋色の肌。

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