街の中の林檎11

街の中で、りんごは静かに燃えていた。

都市の輪郭の中に、ひとつの存在が強く灯る。
オレンジの軌跡を纏った円は林檎の象徴であり、命の核。
周囲に点在する燃えるようなチューリップ、街の構造をなぞる黄とオレンジのブロック、
そして上空をかすめる青の枝葉は、
「人工と自然」「個と都市」の絶妙なせめぎ合いを描いている。

柔らかいパステルの質感と、抑えた筆圧が優しい空気を残しつつ、
中心の林檎は、どこか祈りのような強さをもって観る者を惹き込む。

これは、都市という巨大な枠組みの中でなお、
小さな命が確かに息づいていることを肯定する一枚。